居酒屋ではなぜさっさと客の皿を下げようとするのか。
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技術情報とは関係ありませんが、日常のふとしたシーンにビジネスの在りようを学んだお話。
先日、とある居酒屋に友人と出かけたときのこと。
いくつかの料理を注文して、それぞれが残り少なくなってきた頃。 私たちが話し込んで盛り上がっているところに店員が「スッ」とやってきました。
「ん?何だろう?」と思いながらも話を続けていると、おもむろに何も言わず残り1個になった鳥軟骨の皿を彼は取り上げていったのです。 涼しげな顔で。
それからまたしばらくすると、刺身の海老が1尾残っている皿のところに別の店員がやってきて言いました。
「空いているお皿、片付けましょうか?」
えっ? もちろん空いている皿はありません。 しかし彼の視線はその海老の皿に向けられているのでした。
「早く食べてくれないと、片付けられないじゃないですか。」という意味だったのです。
客席はガラガラ
居酒屋で空こうとしている皿を早めに片付けるのにはいくつか理由がある、と居酒屋で働いている同席の友人が話してくれたのですが、それが次のようなものです。
- 満員だと食器が足りないので、とにかく空きそうなお皿を探し回って回収する。
- 閉店近くになると、従業員も早く片付けて帰られるように早めに回収してまわる。
今回はそのどちらにも当てはまらないシチュエーションでした。 客席は半分くらいしか埋まっておらず、時間も20時くらい。 そう言うと、彼がもう一つの理由を教えてくれました。
「皿を回収すると、お客が次の注文をせずにいられなくなる」
日本人の気遣い気質と判断力のにぶりをうまく利用した戦術
テーブルに小料理の皿がたくさん乗っていると、私たちは「こんなに頼んじゃった」「頼みすぎたかな」「もうスペースがないな」と感じて、それ以上注文しようとしなくなります。
しかし、テーブルにスペースが、がらん、と空いていると「あ、何か注文しなきゃ」「楽しい席なのに机がさびしい」と感じてなんとかスペースを埋めないと気まずい雰囲気になります。
そう思わせることが居酒屋の戦術です。
また、スペースが空いていると店員が堂々と注文を取りに来やすくなります。 「テーブルが空いてますよ、何か注文しますよね?」という営業が簡単にできる環境なんですね。
そして、店員に「気遣いをさせて悪いね」と無意識に感じさせたり、アルコールによる判断のにぶりも相まって、ついつい料理を頼んでしまうというわけです。 なるほど、これは勉強になりました。
残っている皿を回収するのはハイリスク
そうはいっても、冒頭の店員の振る舞いは明らかに配慮に欠けていたものです。 店舗側の戦術どおりにやったのでしょうが、こちらの印象としては「食べている途中で取り上げられた」としか感じられないものになってしまいました。
モンスタークレーマー、などと巷で囁かれるようになり、店舗側が客を神様のように認識する古い価値観はなくなったのでしょうが、こういった接客マニュアルの中にも配慮を含めたその場のアレンジが重要である、ということも考えて欲しいと感じた1件でした。



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