アプリ開発側から考えてみたAndroidの危うさ
Androidに興味のある人はご存知かと思いますが、auのAndroid端末「IS01」がOS1.6のままAndroid OSのアップデートを断念するというニュースがありました。
これはAndroidの行く末を予見させる象徴的な出来事だったと思います。
Android OSを独自拡張したがるメーカー
これもご存知のようにAndroid OSはiPhoneやiPadの「iOS」と違って、どのメーカーでも独自に拡張して機能を増やすことができます。
各メーカーはこれに飛びつきました。 同じAndroid OSを搭載するライバル端末になんとしても勝たなければならないからです。
そうなると、Android OSはLinuxディストリビューションのように多くの独自OSに枝分かれしていくことになります。
Googleの純正Android OS(pure Google)アップデートに対処できないメーカー
すると、本家本元のGoogleが新しいOSを出しても各メーカーが拡張したOSが対応しないと、ユーザーには届かないことになります。
今回対応を断念したIS01も横画面にしたりしたことでアップデート対応が難しくなりましたし、IS03は独自におサイフケータイに対応したりしたことで、次のVer.2.3(GingerBread)にすぐに対応できず、遅れることが発表されています。
さらに2.3ではOSレベルで「NFC(短距離無線通信規格)」に対応予定ということもあり、おサイフケータイと重複する部分も出てきています。
こうなるとますますメーカー独自のOSが対応するのが難しくなり、不具合の可能性も多くなります。 いっそのこと「未対応」という言葉もメーカーにはよぎっているかもしれません。
ソフトウェア開発者の憂鬱
そして、アプリ開発者はどうかということです。
現状でもこれだけ仕様の異なるAndroid端末が溢れかえり、さらにOSも純正のもの(pure Google)、独自規格のものが多く登場しています。
これからさらに混沌としてくることは容易に想像できます。
この状況は歴史的にもブラウザ戦争やケータイ(今のガラケー)戦争に酷似していて、あの時の悪夢が蘇る人も多いのではないでしょうか。
純正OS(正しく動作するOS)向けにアプリを作っているのに、市場のシェアは拡張OSのほうが高いために泣く泣く対応するハメになりはしないでしょうか。
Webサイトに例えると、Mac版IE5や、Windows版のIE6に対応するページを作らないといけないという憂鬱です。
アプリ開発者が「OS2.3まで対応」と言うからには、独自拡張のOS2.3もサポートするだろうと思われます。
開発者からしたら「いやいや、純正Android OS2.3だけだよ」と言いたいでしょうが、それはユーザーからしたら知ったことではありません。 これは非常に怖いことです。
特に端末の多くを自前で用意できない個人デベロッパーにとっては。
Googleに希望すること
Googleのポリシーの一つでもある自由度の高さは、さまざまな場面で良い影響を与えてきましたが、現在のAndroidの流れはその自由度の高さが命取りになっているように感じてなりません。
ある程度、ハードに対してもOSに対しても縛りを強くして、安心して開発者がソフトウェアを開発・サポートできる体制を整えさせてほしいと願っています。
2010-12-02